急な現金の必要性に合わせて、売掛債権を現金化しキャッシュフローを改善する方法としてファクタリングは活用されていますが、じつはそれだけではありません。売掛債権を現金化するという仕組み自体と企業会計の知識を持ち合わせることで、さらなる効果を発揮できる場合があります。
ファクタリングを使って有利子負債を返済
ファクタリングという仕組みを活用して有利子負債を返済することで、企業会計的にどのようなことが起こるのでしょうか。一般的に言われることから、これは財産圧縮が発生します。この財産圧縮をうまく行うことで、負債株主資本率を圧縮することが可能です。今回は、資産1000万、負債800万、自己資本200万の会社で200万円分の資産を活用してファクタリングを行い、負債を200万返済した場合について考えてみましょう。
資産1000万円 | 負債800万円 自己資本200万円 |
このような企業会計となるかと思います。こうした場合の、自己資本に関する負債を考えてみますと、800万円÷200万円=4.0。負債株主資本率が4.0という数字ではかなり見た目は厳しく感じられるのではないでしょうか。ここで200万円のファクタリングを行ってみましょう。
資産800万円 | 負債600万円 自己資本200万円 |
資産自体は減額しますが、ファクタリングですので特段問題はないはずです。注目すべきは自己資本自体の影響がなく負債だけが少なくなっていることです。すると、負債株主資本率は、600万円÷200万円=3.0。なんと、ファクタリングを行うだけで、負債株主資本率を1.0も改善できてしまいました。
今回の場合は、見やすさを重視して自己資本金に対する負債が非常に多い企業として例示してみました。一般的には負債株主資本率は1前後で推移していると倒産の危険の少ない優良企業としてみなされるでしょう。優良企業であれば当然、銀行融資や取引先との関係性向上などメリットも非常に大きくなるはず。こうした操作は別段違法でもなんでもなく会計上のテクニックですので、ぜひ確認してみてください。
財産圧縮とファクタリング
今まで見てきた仕組みは、ファクタリングの手数料を考えていません。そのため、ある程度の余裕のある企業ができる仕組みともいえます。しかし、ファクタリングによる売掛債権の早期現金化は、同時に売掛先企業の倒産や支払い不能に対するリスクヘッジとしても活用できます。ある程度の大きな売掛債権には必ず保証ファクタリングを活用するという会社も出てきました。ファクタリングを、緊急避難の手段として活用するだけでなく、こうした会計上の仕組みもうまく合わせて考えてみると、メリットがさらに大きくなっていくのではないでしょうか。
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