ファクタリングという方法は、アメリカやイギリスではかなり昔から存在しているといわれています。原型という話になると14世紀ごろから行われていたのではないかといわれているほどです。
今回はそうしたファクタリングの歴史から、ファクタリングが日本で受け入れられてこなかった理由などを考えていきましょう。
ファクタリングが花開いたのは19世紀末~20世紀初頭アメリカ
ファクタリングがまさに今の形として使われ始めたのは、19世紀末~20世紀初頭というまさに近代経済が生み出されるのとほぼ同じ時期になります。欧米においては資金調達手段の一つとして広く認識されていきました。アメリカが圧倒的な経済力を背景に世界の覇権を握ろうとする状況で、ファクタリングは生まれたのです。100年以上にもわたる伝統的な手法として、アメリカは日本の5~10倍もの市場規模があるといわれています。
日本でのファクタリングは1970年代?
日本でファクタリングが手法として使われだしたのは1970年代といわれています。当時は都市銀行系子会社を中心としたやり取りであり、もっぱら債権回収や信用調査などを兼ねた事業コンサルや会計手法の一部として活用されていました。
日本では手形割引が一般的に行われており、ファクタリングは搦め手の手法のように扱われていたため、認知度は上がりませんでした。
日本でファクタリングがはやらなかった理由は3つある
日本ではどうしてファクタリングが流行らなかったのでしょうか?理由は3つあるといわれています。
ひとつが日本独自の総合商社という存在です。初期のファクタリングは何よりも資金の流動性という「利便性」が特徴でしたが、この利便性というのは代理店や金融、信用調査といった機能を補完する利便性です。こうした機能はすべて総合商社が請け負ってしまっていたため、ファクタリングを活用する必要はありませんでした。
ふたつ目に、手形の活用です。日本では、現金でのやり取りよりも手形のやり取りを重要視してきました。特にバブル経済での手形のやり取りは圧倒的で、1990年には4,797兆円もの手形が動いていたといわれています。こうした手形のやり取りにより、ファクタリングよりも手形の割引などのほうがわかりやすく一般的な活用方法だったのです。
そしてみっつ目には、「取引信用」の問題です。売掛債権を取引するということ自体があまりいい意味を持たなかったのです。
日本でもファクタリングは浸透しつつある
21世紀に入り、ビジネスの変化のスピードが上がり、小売りや流通の分野においてある程度の流動性の高いキャッシュが日本でも必要になりつつあります。手形のような流動性の低い資産は敬遠されるようになってきました。先ほど上げた3つの日本の特徴がすべて覆されつつあります。今後、さらにスピードが高まっていけば、その価値は高まり続けることは間違いありません。ファクタリングという手法は、日本でも50年の時を経て再び脚光を浴びつつあるのです。
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